比べてみよう!日本で売られている「生ハム」の作り方
日本のスーパーなどで「生ハム」という商品名が付いて販売されているハムのほとんどは、今まで説明してきた非加熱・乾燥熟成で作られた生ハムではありません。
日本でハム・ソーセージなどの食肉加工食品が広まったのは大正時代。第一次世界大戦後に日本に収容されたドイツ人捕虜によって製造技術が広められました。
なので、日本のハムの作り方はドイツの製法から派生したものが主流で、その中の「生ハム」はドイツの「ラックスシンケン」という燻煙生ハムにあたります。
「ラックス」とはドイツ語で「鮭」のことを指し、ハムの色が鮭の身のような紅色をしていることから名づけられたこの生ハムの製造は、ブライン液(塩や香辛料を溶かした水)に豚肉を漬けるところから始まります。豚肉はロース肉、肩肉、もも肉などが使われます。
漬け込んだ豚肉をケーシングやタコ糸などで包装してから4~10時間ほど(メーカーによって違います)軽く冷燻(25度以下で燻製すること)して出来上がり、とイタリアやスペインの生ハムよりも短時間で出来るのが特徴です。(一部、燻煙せず乾燥のみさせたものもあります。)
あっさりとマイルドな味わいで日本人の好みに合うことから国内で製造されている生ハムのほとんどがこのタイプです。
ぜひ次はこの製造方法の違いを知った上で、ヨーロッパの非加熱・乾燥熟成の生ハムと食べ比べてみて下さい。
まとめ
生ハムの作り方についてお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか?
その国、そしてその地域ごとに食文化や気候に合わせて、長い歴史の中で個性豊かな生ハムが生まれ、今まで作られてきました。
ぜひいろいろな種類を食べ比べて、ご自身のお好みの生ハムを見つけていただければと思います。
UNCORK アンコルクでも生ハムをバラエティ豊かに取り揃えておりますので、このコラムを読んで「生ハムが食べたくなった!」という方はぜひ探してみて下さい。
参考文献
■高橋矩彦 発行/ハム&ソーセージ大全/(株)スタジオ タック クリエイティブ/2013
ISBN:978-4-88393-608-3
■早嶋茂 発行/「生ハム」「サラミ」大全/旭屋出版編集部/2018
ISBN:978-4-7511-1353-0
■生ハム教本/一般社団法人日本生ハム協会/2019
コラム監修
■種村慶子/アサヒグラント株式会社
https://asahigrant.co.jp/
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