シャトー・ボネ
ボネのブドウ畑に初めて植樹されたのは16世紀、リブルヌの裕福な商人レイニエ家によって行われました。彼らは荘園領主の邸宅を1560年に購入、大規模な区画整備を行い、森をブドウ畑へと植え替えていき、わずか30年でその景観はガラリと変わりました。1653年には60トノーのワインを生産していたと記録があります。その後多くの所有者の手に渡ったのち、アンドレ・リュルトン氏の祖先、レオンス・ルカペ氏がシャトーを引き継ぐことになります。
レオンス・ルカペ氏はブランヌ(サン・テミリオンの対岸に位置)近郊で酒類製造業を行い成功を収めていました。彼は新たな事業としてワイン造りに着手しました。1897年、類い稀なる洞察力、先見の明があったレオンスが競売でシャトー・ボネを競り落とします。19世紀に立て続けに起こったベト病、ウドンコ病、フィロキセラに苦しめられたボネでしたが、実験用の区画を開き、健康なブドウへの植え替えを行うなど、レオンスは非常に積極的に対策を講じました。わずか数年のうちに酒のブレンダ―から非常に優れたワイン商人へと転身しました。
あっという間にシャトーの周りにはブドウ樹が植えられ、その面積は120haにも及びました。同時に建物の改修も行われ、雄大な田園風景が眺められる立派な塔が建てられたり、新しい醸造施設や美しい庭も完成しました。彼のシャトーへの深い愛情によって、ボネは地域で最も優れたブドウ園へと成長します。そして1953年に彼の孫、アンドレ・リュルトン氏にシャトーは引き継がれます。