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ザ・ジャンシス・ロビンソン ワイングラスコレクション

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本間チョースケの独断と偏見で巡るイタリアワイン紀行 | vo.1 アルト・アディジェ

本間チョースケの独断と偏見で巡るイタリアワイン紀行 | vo.1 アルト・アディジェ

公開

UNCORKを運営するワイン専門商社 株式会社モトックスには、なんと、あの国内外で人気のワイン漫画のキャラクター 本間長介のモデルとなった社員 本間チョースケ が在籍しています。こちらの特集では、本間チョースケが「素晴らしい品質でもっともっと多くの人に飲んでもらいたい!」と思うおすすめの推しワインをご紹介。実際にワインを1本ずつ飲み、改めて向き合って感じた熱い思いとおすすめポイントを直球勝負でお届けします。

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本間チョースケ プロフィール
本間 敦(ペンネーム:本間チョースケ)
イタリアワインライター

(社)日本ソムリエ協会公認 シニアソムリエ、SAKE DIPLOMA
渡伊50回以上を数え、ワイナリー200社以上を訪問。執筆活動を通じてイタリアワインの魅力を伝える。
専門誌、一般誌でのコメント掲載多数。また、ワインの普及活動の一環として全国各地で講演活動を精力的に実施。
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今回のテーマは、アルト・アディジェ

白ワイン銘醸地で光る、赤ワインの秀逸!

記念すべき第一回のテーマに選んだのは、北イタリアにあるトレンティーノ・アルト・アディジェ州のワイン、それも赤ワインである。 もっとも、この地名を耳にして「白ワインの産地では?」と首をかしげる方も少なくないだろう。――まあ、そう急がず、少しだけお付き合いいただきたい。

元々、オーストリア領であったトレンティーノ=アルト・アディジェ州(南チロル=ズート・ティロルと呼ばれていた)は、第一次世界大戦後、戦勝国となったイタリアが1919年に併合した地域である。従って、住民はゲルマン系であり、言語や文化風俗もまた、オーストリアそのものである。現在、特別自治州となっており、公用語はイタリア語、ドイツ語が認められている。ドロミテ渓谷が聳える北部のボルツァーノ県(アルト・アディジェ)、南部の州都トレントを中心としたトレント県(トレンティーノ)という2つの自治県があり、特に国境であるアルプス山脈に近いアルト・アディジェは、オーストリア文化の色彩が強い。

今回はこの「アルト・アディジェ」の素晴らしい赤ワインを2本ご紹介させていただくのだが、まずはこの地を知るための基本的なポイントを、軽くおさらいしておこう。要点をまとめた「おさえておきたいポイント」も用意しているで、忙しい向きはそちらに目を通していただければ十分だ。

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アルト・アディジェのワイン造り

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ワイン造りにおいては1980年代までは圧倒的赤ワインの生産が多く、赤ワインの産地と目されてきた。ところがスキアーヴァに代表される赤ワインは銘醸ワインになりえず、北イタリアにおいて、例えばピエモンテ州の赤ワイン、ヴェネト州の赤ワインの後塵を拝してきた。多くの生産者は危機感を覚えていたし、元々生産量の多い地域ではなかったため、白ワインに傾注し、その品質を高めることで活路を見出そうとした訳だ。2008年には赤ワインの生産量を白ワインが初めて上回り、現在ではフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州と並ぶ白ワインの銘醸地と知られるようになった。

優れたアルト・アディジェの生産協同組合

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過去には、栽培農家は世襲ごとに、次世代に畑を割譲していったので(現在では畑の割譲は禁止)、畑の単位は1ha前後と小さい。兼業農家も多い。当然、小さな栽培農家が醸造施設を構えるということは出来ず、この地ではそういった農家を束ねる「ワイン生産協同組合」として運営されるワイナリーが一般的であり、家族経営のワイナリーは少ない。アルト・アディジェに12社あるワイン生産協同組合の中でも、赤ワインの品質、とりわけ地品種ラグレインの評価が高いのが、今回紹介するカンティーナ・ボルツァーノだ。(白ワインはどの生産者も皆、素晴らしい!)

ボルツァーノを含むアルト・アディジェの生産協同組合では、栽培農家が健全かつ糖度が高いブドウを納めれば通常よりも割り増し価格で買い取り、また組合の業績が良ければボーナスも支給するシステムで運営されている。それゆえに農家のモチベーションは極めて高く、品質の高いワインが生まれるのも頷ける。また組合員の栽培農家には定期的にブドウ栽培の専門家が派遣され、的確なアドヴァイスを行っている。

また、生産協同組合は洗練された最新鋭の設備を持つワイナリーがほとんどで、先ず例外なく、リーダーとなる優れた名醸造家を据えている。様々なワイン専門誌において、年間最終優秀醸造家賞を獲得するような世界的な醸造家も多く輩出している。カンティーナ・ボルツァーノの醸造家ステファン・フィリッピ氏もまた、金髪、色白、青い目、2mを超える長身で、極めて勤勉、カンティーナ・ボルツァーノの高品質は彼無しに語ることはできない。

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ボルツァーノ市内には近代美術館があり、市を挙げて近代美術の普及に力を入れている。どこの生産協同組合に訪問しても近代美術をモチーフにした建築やアートを目にする。2008年に新しいセラーが完成したカンティーナ・ボルツァーノのエントランスには巨大な葉脈をモチーフにしたキューブのオブジェが鎮座している。

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さて、ここからは実際のワインを一本ずつご紹介していこう。――アンディアーモ(さぁ、いこう!)!

おすすめワイン その1

世界を代表するラグレインはこれだ!

サンタ・マッダレーナ ラグレイン リゼルヴァ タベール

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イタリアワインファンであれば、必ず飲んでほしい一本がこれ!この地域では、白ワインではゲヴュルツトラミネールやシャルドネ、ソーヴィニヨンで優れたワインが多数存在するが、アルト・アディジェの地品種の赤でこれだけ素晴らしいワインは滅多にお目に掛かれないからだ。

現在では白ワインの銘醸地と目されるアルト・アディジェであるが、カンティーナ・ボルツァーノに関しては、赤ワインの生産量が白ワインのそれを上回る。何と言っても出色はラグレイン・リゼルヴァ ターベルである。ワインガイド『ガンベロロッソ』誌では毎年最高評価トレ・ビッキエーリを獲得しているし、各専門誌の評価を見ても、ラグレイン品種のトップワインであることは疑いようもない。

ワインは温かみと柔らかさ、丸みを感じるワインである。アルト・アディジェの厳しい冬に外出から戻って、暖炉に薪をくべ、ぱちぱちと音立てる暖炉で暖を取っているようなイメージ。濃厚であるが過剰な強さはなく、包容力があり、ほっと安堵感を覚えるワイン。素朴な印象も受けるが、緩さはなく、根底に微かにクローブやカルダモンの様なスパイスのニュアンスを感じる。ディテールまできっちりと緻密に造られているのが分かる。

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このワインが生れる単一畑「タベール」は、ボルツァーノ市内の閑静な住宅街にある。入口は普通の邸宅のようで、ブザーを押して人を呼び出して中に入る。門を入れば、すぐに畑が広がる。

温暖な気候を好むラグレインは標高の低い畑、もしくは平地に植樹されており、アルト・アディジェで多く見られるペルゴラ(屋根)仕立て。ブドウの木を誘引する支柱を屋根の様に交差させ、葉はその上にはわせ、葉の下にブドウの房を置く。夏にはボルツァーノも気温が30℃を超える日が多く(町中には街路樹でパームツリーがみられる)、強い日差しとドロミテ渓谷の白いドロマイト(苦灰岩)の反射光が畑に振り注ぐため、光合成の促進とブドウの焼けを防ぐ目的である。昔は密植という概念がなかったため、ターベルのような古い畑は、畝と畝が広く取られ、ゆったりと植えられているのが特徴である。

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あわせる料理で一番のおすすめはなんといっても、アルト・アディジェの郷土料理、カネーデルリ(クネーデル)。様々なレシピが存在し、ブロードと一緒にいただくもの、ホウレンソウやビーツで色付けしたもの、バターやチーズを用いるものなど様々。 現地では少なくとも3つ以上レシピを知らなければお嫁にいけないそうだ(笑)

せっかくなので、ラグレインというブドウがどんな品種なのかも、ご説明しておこう。

ラグレイン

トレンティーノのヴァッラガリーナから持ち込まれ、その名の由来となった説、ギリシャから伝来した説と諸説ある。ルーツは、テロルデゴと未解明の品種との自然交配品種である説が有力。ピノ種のひ孫、シラー種の従兄弟にあたる品種である。濃厚な色調の、豊かなベリー系果実のフレーヴァーをもつワインとなるが、タンニンは鋭角的ではなくマイルド。

14世紀後半、ボヘミア王でもあった神聖ローマ皇帝カール4世は、故郷であるチェコの淡いワインやブルゴーニュのワインを好んだ。アルト・アディジェにおける彼の治世下で、濃厚なラグレインよりも、淡いスキアーヴァの栽培を推奨したため、その生産量は激減した。

近年では別の理由―平地で温暖な気候を好む品種であるが、ボルツァーノは人気の都市であり、地価が高く、畑は宅地造成され、一時は絶滅が危惧された品種である。現在、優れた生産者の手による逸品も生まれ、そのラグレインの最高峰がラグレイン・リゼルヴァ・ターベルなのだ。
サンタ・マッダレーナ ラグレイン リゼルヴァ タベール
生産地:イタリア/トレンティーノ・アルト・アディジェ 生産者:ボルツァーノ 価格:12,980円(税込)

おすすめワイン その2

麗しきクールビューティ

サンタ・マッダレーナ カベルネ・リゼルヴァ ムメルテル

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アルト・アディジェにおいて、『カベルネ』と表記があれば、カベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フランのブレンドである。このワインもまたワイナリーのポートフォリオの柱で、まさにラベルには、ギリシャのイオニア様式のエンタシス(バ〇ボンパパの鼻毛ではない(笑))が描かれている。

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他の地域のカベルネ系と異なるのは、大陸性気候や山麗地帯の気候をそこはかとなく連想させるハーブのような青々しい香りのニュアンスである。以前はタンニンや酸が厳格で、味わいが開くのに少し時間が必要な印象であったが、最近のものは、温暖化の影響からだろうか?柔らかな輪郭で親しみやすい。フルボディであり、果実のフレーヴァーの中に樽のニュアンスが上手く溶け込んでおり、タンニンは優しくジワーっと根底に広がる。スーパートスカーナの洗練や南イタリアのフレンドリーさはないが、人に喩えるなら真面目で誠実、質実剛健なタイプだ。

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肉料理全般と合わせるが王道であろうが、意外であったが、現地で、少しだけ残ったこのワインと食後のデザートで出されたストゥリューデル(リンゴのタルト)とも良くあった。
サンタ・マッダレーナ カベルネ リゼルヴァ ムメルテル
生産地:イタリア/トレンティーノ・アルト・アディジェ 生産者:ボルツァーノ 価格:8,580円(税込)
さて、今回はこのあたりで。 またグラスを片手に、お会いしましょう。Ciao Ciao --チャオチャオ!